2018/07/24(火) 14:04

韓国国民年金基金が韓国版スチュワードシップ・コード署名へ

投稿者:
来たる7月26日に、600兆ウォン(約60兆円)の資産を有する韓国国民年金基金の韓国版スチュワードシップ・コード署名最終案が公表される。

韓国保健福祉部は17日、韓国金融投資協会にて「国民年金基金スチュワードシップ・コード署名案公聴会」を開き、草案と今後の日程を提示した。
2016 年12月、前大統領関連の汚職事件が発端となり、韓国版スチュワードシップ・コードが策定され、現在までに56の機関が署名している。
現大統領の公約でもある韓国国民年金基金のスチュワードシップ・コード署名は、企業支配構造の透明性を高め、韓国株式市場の健全性を確保し、国民の老後資金を安全に管理する優れた手段になるという社会の期待が大きい。
実際に、今年後半から来年を目処に、公務員年金基金や多くの金融機関がスチュワードシップ・コード署名の意思を明らかにしている。

スチュワードシップ・コードの署名は、「コリア・ディスカウント」の解消に寄与するという意見が優勢だ。コリア・ディスカウントとは、韓国企業の株価は企業価値が同レベルの外国企業に比べて低く(discount)形成される現象をいう。主な原因として、北朝鮮との対立関係に起因する地政学的リスク、大企業を中心とする不透明な企業支配構造、高い外国人投資家の割合に起因する大きな変動、会計の不透明性、労働市場の硬直性、低配当性向などが挙げられる。コリア・ディスカウントの解消は、年金の利益拡大にも大きく貢献するという意見が支配的だ。

もっとも、韓国国民年金基金が公開したスチュワードシップ・コード草案は、株式市場と財界の両方に及ぼす影響が大きいとの配慮から、慎重かつ消極的な姿勢を取る形となった。企業経営に参加しない範囲で可能な株主権行使に焦点が合わせられた。配当に関連する株主の活動範囲拡大、議決権行使に対する事前公示、株主代表訴訟など、2018年下半期から段階的に実行に移す方針だ。

また、国民年金基金のスチュワードシップ・コード署名のための研究結果報告書には含まれていた、社外取締役および監査役等の役員選任・解任、ESGや定款変更に関する各種株主提案など、投資先企業に事実上の影響力を行使する「経営参加株主権」を行使するかについては、2020年まで見送りとなった。

国民年金基金のスチュワードシップ・コード署名は、各界で肯定的な意見が目立つが、詳細をめぐっては意見が鋭く対立している。韓国与党および有識者らは、健全な市場経済を牽引するために、世界の潮流に合わせた署名が必要だとしている一方、財界および韓国野党では、経営委縮に繋がるとして難色を示している。

保健福祉部は「経営参加に該当しない範囲で優先株主権を行使して、経営参加は条件が整った後、再び検討する」という立場を示した。これを受け、今回の草案ではスチュワードシップ・コード署名が無用だという声も上がっている。一部の団体からは批判声明文が発表される事態にまで発展した。

名ばかりのスチュワードシップ・コード署名では、世界の潮流から大きく逸脱する。また、ESG関連の内容も盛り込まれていない。他の先進国に遅れて署名するからには、先例をスタディした上での署名が推進されものだという期待があったが、草案は財界の顔色を伺うような内容になっている。

最終案公開までの限られた時間で、草案推進派と反対派の溝をどれほど埋められるのか。

26日以降最終案に関してレポートする予定である。