Wednesday, 17 October 2018 16:57

■IPCC、「地球温暖化1.5℃特別報告書」受諾(韓国・仁川)

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2018年10月6日、韓国・仁川で10月1日より6日間にわたって開かれた国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC; Intergovernmental Panel on Climate Change)の総会が閉幕した。

IPCCは、6日に加盟国の満場一致で採択された「地球温暖化1.5℃特別報告書」を通じて、2100年まで地球の平均温度上昇幅を1.5℃以下に抑えることが必要だとし、その実現には全世界が2030年までに二酸化炭素(CO2)の排出量を半分以下に削減する必要があると指摘した。

2015年のパリ協定では今世紀末までの地球の平均温度上昇幅を工業化以前と比較して2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をするとしてきた。しかし、1.5℃上昇に抑えたとしても、小島嶼、沿岸低平地などで海水面が26cmから70cm上昇し、2℃上昇だと、海水面はさらに約10㎝上昇し、当該地域でさらに最大で1000万人が危険に陥ると、今回の報告書で明らかになった。

たった0.5℃と思うかも知れないが、この0.5℃がもたらす生物多様性や生態系、さらには世界経済に与える影響は計り知れない。

特別報告書では、上昇幅を1.5℃以内に制限するには、あらゆるセクターで、迅速かつ広範で、さらに前例のない変化が必要だと述べている。

主要な論点は、2030年までに二酸化炭素排出量を最低でも45%削減する必要があること、また2050年までに、人為的な二酸化炭素の排出を、「ネット・ゼロ(net-zero)」状態にする必要があることなどである。「ネット・ゼロ」とは、人間が排出した二酸化炭素を二酸化炭素回収技術や新規植林、再植林、土地回復など人為的な方法で吸収量を増やし、実質的に温室効果ガスを「0」にすることを意味する。

 1.5℃に制限するため、今後排出できる炭素の排出総量(carbon budget)の上限は、4200億CO2t〜5800億CO2tである。 2010年時点の年間排出量(420億CO2t)を考慮すると、我々が削減に向けた対策を講じたとしても、2038年から2058年の間にはこの上限に達する見込みである。

二酸化炭素はもちろんのこと、その他の温室効果ガス、非二酸化炭素(Non-CO2)ガス(メタン、亜酸化窒素、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、六フッ化硫黄)の低減も重要である。

同時に、エネルギー需要の減少、電力の脱炭素化、エネルギー効率の向上などを併せて推進しなければならない。

同レポートでは、1.5℃目標を実現するための経路に沿うには、エネルギーシステム移行への投資を2016年から2035年の間、毎年2.4兆ドルと見込む。これは世界のGDPの2.5%に相当する金額である。これが実現するならば、地球の平均温度上昇幅を1.5℃に制限するという目標を達成するのは可能と予測されているが、問題は、各国の政府の政策、技術イノベーションの加速、そして行動意識変革などの面でいかに目標に近づく努力ができるか、と言う点だろう。

地球温暖化を抑えるためには、全世界が一丸となり、この問題に取り組む必要があるが、米国のパリ協定離脱や豪州のCO2削減目標放棄など、問題は山積している。温暖化が与える影響に対する各国の認識にも未だばらつきがあり、これを擦り合わせるにも時間がかかりそうだ。

韓国メディアでは、今夏襲った猛暑を引き合いに出し、韓国も地球温暖化対策に乗り出すべきだとしている。韓国政府は2017年12月、「再生エネルギー3020履行計画」を発表しており、その推進が今後の焦点だと、多くのメディアは語っている。この計画は、2030年までに原子力の利用を削減する代わりに、現在、全電力の7%に過ぎない再生エネルギーの利用を20%までに引き上げるというものだ。この計画に対し、韓国国内で賛否両論あるが、世界の二酸化炭素排出量7位という状況を真摯に受け止め、IPCC特別報告書で掲げている目標達成に貢献することが期待される。