2018/10/22(月) 14:51

■香港証券先物委員会、グリーンファイナンスに関する新たな枠組みを発表

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2018年9月21日、香港証券先物委員会(HKSFC)はグリーンファイナンスに関する新たな枠組み注1を発表した。HKSFCは、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)注2の提言に沿って、企業に気候変動リスクと機会を中心とした環境情報の開示を強化するとともに、アセットオーナーがESG要素(環境、社会、ガバナンス)を投資意思決定プロセスに統合し、環境情報の透明化が向上されることを目指している。

また同委員会は、ESG報告基準の策定とグリーン投資商品の開発によって、「グリーンウォッシング」を排除し、証券市場における「グリーンファイナンス」の健在な発展、投資家の信頼性確保を企図し、さらに香港証券取引所(Hong Kong Exchanges and Clearing)と連携し、債券、インデックス、デリバティブなどのグリーン金融商品の上場と取引を促進していく。

昨今グローバルで普及拡大しているグリーンファイナンスは、2016年9月5日に開催されたG20 杭州サミットで、初めて重要議題として取り上げられ「G20 グリーンファイナンス統合レポート」注3が発表されたことが契機となった。同レポートでは、グリーンファイナンスの目指す方向として、環境に良い効果を与える投資の促進や環境に悪い投資を減らすために、環境の外部性を内部化し、環境リスクを投資決定プロセスに統合することが示されている。グリーンファイナンスは、金融機関と資産クラスを幅広くカバーしており、公的資金だけでなく民間資金をいかに動員できるかが市場発展の鍵となる。さらに、G20杭州サミット後に発表された首脳声明(コミュニケ)で、環境問題解決には世界各国でグリーンファイナンス拡大の必要性が確認された。

中国では、上海市場および深圳市場を監督している中国証券・管理委員会が、2018年9月30日に「上場企業の企業統治・管理準則(改正)」を発布し、同準則にESG要素も導入された。さらに、中国証券監督管理委員会(CSRC)の副主席である方海星が上場企業による環境情報開示の実施方法として、すべての上場企業に対して、2020年からESG情報開示を義務化すると発言している。これにより、企業による環境情報の開示が普及していくことが期待される。

HKSFCは、グリーンファイナンスの拡大・促進だけでなく、グリーンウォッシングのリスクも強調した。環境要因を投資プロセスに完全に統合していないのに、「グリーン」または「サステイナブル」な活動を展開しているかのような印象を植え付けようとするアセットマネジャーがいる。従って、グリーンウォッシングを排除すべくアセットマネジャーを監督する必要がある。

香港証券市場は、中国と世界の資本市場の架け橋として、世界各地の資金をつなぐ役割を担っていると言っても過言ではない。グリーンファイナンスやESG投資の拡大を図った新たな政策導入により、世界の資本市場をリードすることが期待される。

  1. グリーンファイナンスに関する新たな枠組み「Strategic Framework for Green Finance 2018-9-21」SECURITIES AND FUTURES COMMISSION」(参照:2018-10-18)
  2. TCFD「Publishes first status report」(参照:2018-10-18)
  3. G20 グリーンファイナンス統合レポート「G20 Green Finance Synthesis Report 2016-9-5」G20 Green Finance Study Group (参照:2018-10-18)