Wednesday, 14 November 2018 22:10

■「エネルギー効率」への期待〜日本の技術が活かせるか?

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毎日のように届く世界のメールニュースの中で、今週私の目に留まった記事は、「The Climate Group」が発表した「NTT commits to electric vehicles and tackling energy waste (29 October 2018)」だった。NTT(日本電信電話株式会社)がEV100 とEP100 両方にコミットし、それは世界でも初めてだという内容だ。近年多くのイニシアティブが発動しているが、その中でもRE100やEV100に比べ、やや地味な感じが否めないEP100。そもそも「EP」ってなに?実はこのEP=Energy Productivity (エネルギー生産性)、またはEnergy Efficiency (エネルギー効率)は、大きなポテンシャルがあるのではないかと感じている。

気候変動対策は、IPCC(気候変動に関する政府間パネル) が2018年10月6日に「地球温暖化1.5℃特別報告書」を公表し、現状とのギャップに危機感はさらに強まっている。11月2日にWWF(世界自然保護基金)が主催した同報告書の緊急勉強会には、定員を超える参加希望者が申し込み、当日も空席がほとんど無いほどの関心を集めていた。気候変動問題に対する認識はパリ協定以降大きく変わり、さらに2018年12月のCOP24では実施指針が議論される予定で、その準備も進展しているが、IPCCのレポートはその議論に大きな影響を持つ。これまで「2℃目標」を掲げていたが、レポートでは「1.5℃」に抑える重要性が論じられ、そのためには2050年にネットゼロにする必要がある、という結論に至っている。

しかし、実際に今後も世界の経済が引き続き成長していくためには、エネルギー消費は増加すると考えられるし、特に産業用途においては途上国などで増大することは「譲れない」部分だろう。それでもCO2を削減しなければならないならば、何かがトレードオフになるのか?地域間、世代間で誰が損をするのか、という公平性の問題も難題であろう。

このような厳しい排出削減の中にあって、期待される一つの分野として「エネルギー消費は減らし、効果(効用)は同じかそれ以上」であるという理想的なこと、それを実現する「エネルギー効率(EP)の向上」が注目されている。脱炭素化や自然エネルギーへの転換などと共に、重要なイノベーションが必要なこの分野にこそ、日本の「省エネ」技術が活かされるのではないだろうか。この7月に閣議決定された第5次エネルギー基本計画でも、2030年に向けた政策対応の中で、「徹底した省エネルギー社会の実現」が挙げられている。「徹底した省エネルギー」と聞くとオイルショック後の電気を消したオフィスを思い起こす人も多いと思うが、我慢する省エネルギーではなく、例えば「エネルギーコストがゼロで、前よりも快適な住宅」。そんな家なら私も住みたい。「調理時間が半分、電気代はもっと安く、しかも美味しく作れるグリル」も欲しい。グリーンビルディングの建設や改修にかかる費用に対して、グリーンボンドの資金が集まっていると聞く。コンシューマー市場だけではない。前述のEP100ではオフィスなどの業務分野でエネルギー効率を大幅に向上させることを企業としてコミットする。ここでも新しいサービスや製品が求められるだろう。社会が移行しようとする中では、あらゆる場面、様々なケースで、千差万別の新しい価値が生まれる可能性がある。

現在考えられる人類の科学・英知を集めたとも言える1.5℃特別報告書では、前例のないスケールで社会システムの移行を進めることがキーだとしている。何を選び、何を捨てれば、持続的な社会へ移行していけるのか。より良い選択肢を求める社会に対して、応えることができる企業は、「持続可能な社会」においても「持続的な価値を持つ企業」と言えるのではないだろうか。

参考資料・出所

“NTT commits to electric vehicles and tackling energy waste “
(29 October 2018) THE CLIMATE GROUP
https://www.theclimategroup.org/news/ntt-commits-electric-vehicles-and-tackling-energy-waste(参照:2018-11-11)

“国際イニシアティブ「EP100」「EV100」への加盟について”NTT特殊会社ニュースリリース” NTT
http://www.ntt.co.jp/news2018/1810/181029a.html(参照:2018-11-11)

“社長記者会見” NTT特殊会社ニュースリリース NTT
http://www.ntt.co.jp/kaiken/2018/180626.html(参照:2018-11-13)

“Global Warming of 1.5℃”  ipcc
http://www.ipcc.ch/report/sr15/(参照:2018-11-14)

“第5次エネルギー基本計画” 経済産業省 資源エネルギー庁
http://www.enecho.meti.go.jp/category/others/basic_plan/(参照:2018-11-14)