Tuesday, 22 January 2019 11:35

■気候変動適応法および気候変動適応計画

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地球温暖化による異常気象、それに起因する災害による人的被害や農作物への打撃などを抑えることを目的とした「気候変動適応法」が、2018年6月13日に公布され、同年12月1日に施行された。
この法律により、日本における気候変動適応策の法的位置づけが明確化され、国、地方公共団体、事業者および国民が連携・協力して適応策を推進するための法的仕組みが整備されたことになる。同年11月27日には同法に基づく「気候変動適応計画」が閣議決定された。

温室効果ガスの排出削減対策(緩和策)と、気候変動の影響による被害の回避・軽減対策(適応策)は車の両輪の関係にある。
日本は、1998年に施行され、パリ協定の採択を踏まえ2030年温室効果ガス26%削減に向けた施策を盛り込み、2016年に改正された「地球温暖化対策推進法」と今回の「気候変動適応法」の二つの法律および「気候変動適応計画」を礎に、今後、気候変動対策を推進していく。2020年に改めて評価、見直しを行い、2021年を目途に計画を改定する予定である。その後は5年ごとに計画を見直すこととしている。

<気候変動適応法成立の背景>
近年、気温の上昇、大雨の頻度の増加や、農作物の品質低下、動植物の分布域の変化、熱中症リスクの増加など、気候変動の影響が全国各地で起きており、さらに今後、長期にわたり拡大する恐れがある。
これまで日本においては、地球温暖化対策推進法の下で、温室効果ガスの排出削減対策(緩和策)を進めてきたが、気候変動の影響による被害を回避・軽減する適応策は法的に位置付けられていなかった。
気候変動に対処し、国民の生命・財産を将来にわたって守り、経済・社会の持続可能な発展を図るためには、温室効果ガスを長期的に大幅に削減する取り組みを図ることが重要課題である。そして、現在生じており、また将来予測される被害の回避・軽減等を図る気候変動への適応に、政府、地方公共団体だけでなく、事業者および国民も含めて連携・協働し、一丸となって取り組むことが一層重要となっている。
こうした状況を踏まえ、気候変動への適応を初めて法的に位置付け、これを推進するための措置を講じようとするものである。

<気候変動適応法の概要>
(1)適応の総合的推進
・国、地方公共団体、事業者および国民が気候変動への適応の推進のために担うべき役割を明確にする
・政府は、気候変動適応計画を定めなければならない
・環境大臣は、おおむね5年ごとに、中央環境審議会の意見を聴き、気候変動による影響の評価を行わなければならない
(2)情報基盤の整備
・国立環境研究所は、気候変動の影響および適応に関する情報の収集および提供や、地方公共団体および地域気候変動適応センターに対する技術的援助等の業務を行う
(3)地域での適応の強化
・都道府県および市町村は、気候変動適応計画を勘案して、地域気候変動適応計画の策定に努める
・都道府県および市町村は、気候変動の影響および適応に関する情報の収集および提供等を行う拠点(地域気候変動適応センター)としての機能を担う体制の確保に努める
・地方環境事務所その他国の地方行政機関、都道府県、市町村等は、広域的な連携による気候変動への適応のため、気候変動適応広域協議会を組織することができる
(4)適応の国際展開等
・気候変動への適応に関する国際協力の推進や、事業者による気候変動への適応に資する事業活動の促進等に係る規定の整備を行う

<気候変動適応計画策定の背景>
日本において、既に生じている、あるいは、将来予測される気候変動の影響による被害を防止または軽減するために「適応」が重要となってきている。
「気候変動適応法」第7条において、「政府は、気候変動適応に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、気候変動適応に関する計画を定めなければならない」と規定されており、今般、2018年11月27日「気候変動適応計画」が閣議決定されたものである。

<気候変動適応計画の概要>
気候変動適応法第7条に基づき、気候変動適応に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、策定した。
本計画は、2015年11月27日に閣議決定された「気候変動の影響への適応計画」の内容を踏まえつつ、気候変動適応法に基づき、
・気候変動適応に関する施策の基本的方向性(目標、計画期間、関係者の基本的役割、基本戦略、進捗管理等)
・気候変動適応に関する分野別施策(①農業、森林・林業、水産業、②水環境・水資源、③自然生態系、④自然災害・沿岸域、⑤健康、⑥産業・経済活動、⑦国民生活・都市生活)
・気候変動適応に関する基盤的施策
について記載されている。

気候変動適応法第6条には、
国民の努力として、
「国民は、気候変動適応の重要性に対する関心と理解を深めるとともに、国及び地方公共団体の気候変動適応に関する施策に協力するよう努めるものとする」
と規定されている。

気候変動適応計画にも
「(4)国民の基本的役割
① 自らの気候変動適応行動の実施
国民一人一人が、気候変動適応の重要性に対する関心と理解を深め、適切な行動を取るこ
とが重要であり、国民は、国及び地方公共団体が提供する情報を活用しつつ、地域における防災情報の確認、節水の実践、熱中症予防の徹底等、自らの気候変動適応行動を実施するよう努める。
② 気候変動適応に関する施策への協力
国民一人一人が日常生活において得る気候変動影響に関する情報の提供等、国民は、国及
び地方公共団体の気候変動適応に関する施策に協力することが期待される」
と記されている。

気候変動の影響は、国民一人一人に直接的、間接的に降りかかるものであり、自らの生活、行動様式を見直していくことが喫緊の課題である。残された時間は限られている。新たな年2019年を迎えるに当たり、2018年自分は何ができたかを思い起こし、これから何ができるかを考え、一歩一歩着実に行動に移していきたい。

<添付資料>

気候変動適応法(2018.06.13公布 2018.12.01施行)
http://www.env.go.jp/earth/tekiou.html

気候変動適応計画の閣議決定(2018.11.27)(報道資料)
http://www.env.go.jp/press/106190.html

「気候変動の影響への適応計画」(平成27年11月27日閣議決定)
気候変動の影響への適応計画 [PDF 1,029 KB]
気候変動の影響への適応計画の概要 [PDF 170 KB]

「気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018~日本の気候変動とその影響~」
(環境省、文部科学省、農林水産省、国土交通省、気象庁共同作成)
『気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018 ~日本の気候変動とその影響~』[PDF 14,336 KB]
『気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018 ~日本の気候変動とその影響~』概要パンフレット[PDF 7,423KB]

「地球温暖化対策推進法」
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/domestic.html