2019/03/12(火) 18:15

【セミナー参加レポート】「ESG金融ハイレベル・パネル(第1回)」

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2019年2月28日環境省主催による「ESG金融ハイレベル・パネル(第1回)」が東京国際フォーラムで開催された。

2017年12月8日、環境省は金融業界の主要業態が一堂に会する場を設け、国民の資金(年金資金および預金等)を「気候変動問題と経済および社会的課題との同時解決」、「新たな成長」へとつなげる未来に向けた強い意志を共有するとともに、各業態が今後果たすべき役割について議論する「ESG金融懇談会」を設置した。
2018年1月から6月まで7回の会合の結果、2018年7月27日「ESG金融懇談会提言~ESG金融大国を目指して~」が取りまとめられた。
この提言の中に「ESG 金融には長期の視点が欠かせないことから、ESG金融に係る全てのステークホルダーがしっかりと意識を持ち、取り組むことが重要である。金融・投資分野の各業界トップと国が連携し、ESG金融に関する意識と取組みを高めていくための議論を行い、行動する場として「ESG 金融ハイレベル・パネル」(仮称) を設置し、本提言に基づく取組状況を定期的にフォローアップしていくことを提言する」とあり、それに基づき、「ESG金融ハイレベル・パネル」が設置され、今般その第1回会合が開催されたものである。

冒頭、原田環境大臣が「経済政策と環境政策は一体である。環境省としてESG金融をG20 に向けて強力に推進したい」と挨拶されたのに続き、BNPパリバグループのピエール・ルソー サステナブル事業上席戦略顧問が「サステナブルファイナンス 金融業界が直面する新たな道」と題して基調講演を行い、「銀行業界がサステナブルファイナンスでリーダーシップを取れていない。銀行は新しいビジネスチャンスと捉えるべきである。」と発言した。

さらに、直接金融業界の取り組みについて年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)および生命保険協会が、間接金融業界の取り組みについて全国銀行協会および大和総研が講演を行った。その他、各業界団体から各々その取り組みについて説明があった。

続いて、21世紀金融行動原則、行政サイドの取り組みとして環境省、経済産業省、金融庁および国土交通省等が講演した。
今回は、第1回会合ということもあり、各業界のESG金融について、現状と今後の取り組みに関する概要説明にとどまった。

今後、このパネルは一年度当たり1回から2回程度開催し、各業界および国における、ESG金融懇談会提言に基づく取り組みや新たな取り組みの状況について、フォローアップを行う予定になっている。

欧州をはじめとして、世界でESG投資が潮流となる中、日本でも、2015年9月、GPIFが、責任投資原則(PRI)に署名したことを契機に、ESG投資が広がりを見せている。先行する直接金融市場においては、深化しつつある機関投資家と投資先企業の間の対話を通じて、投資先企業における環境戦略が一層促進されることが期待される。そのプロセスおよび結果について、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)を踏まえた情報開示を積極的に進めるべきである。

他方、間接金融市場においては、経営として環境金融に取り組んでいる銀行は一部にとどまっているのが現状である。今後、特に地域において環境金融が広がることにより、環境と経済の観点から地域の持続可能性を高めていくために、地域金融機関および地方自治体の役割に期待が高まっている。全銀協会長が「銀行ビジネスモデルをESGから見直す」との発言もあり、間接金融市場(ESG融資等)の積極的取り組み姿勢と一層の浸透を期待したい。

また、環境省が支援する21世紀金融行動原則には、既に250を超える金融機関が参画しESG投融資の推進に取り組んでおり、今回のパネルの活動と21世紀金融行動原則の活動が相互連携を図りながら進むことが、日本のESG金融の発展につながることになるだろう。

<参考>

ESG金融ハイレベル・パネル(第1回)議事次第および資料(環境省 2019年2月28日)
http://www.env.go.jp/policy/esghighlevel/190228-01.html

ESG金融懇談会提言~ESG金融大国を目指して~(2018年7月27日)
http://www.env.go.jp/policy/01ESG.pdf

ESG金融懇談会(環境省 2017年12月8日)
http://www.env.go.jp/policy/esg/kinyukondankai.html

(参照:2019-3-9)