2019/03/27(水) 21:34

【セミナー参加レポート】「ジャパン・グリーンボンド・シンポジウム」

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2019年3月1日環境省主催、日本証券業協会および日本取引所グループ後援による「ジャパン・グリーンボンド・シンポジウム」が東京国際フォーラムで開催された。

近年、国内外でグリーンボンドへの関心が発行体および投資家双方で高まっている。
日本でもグリーンボンドの発行実績は、件数、金額ともに急増している。
この動きをさらに加速させ、国内のグリーンボンド市場拡大を促進するために国内外のグリーンボンド最新動向について情報を共有・発信することを目的として、環境省は、「グリーンボンド発行促進プラットフォーム」を立ち上げ、これを通じてグリーンボンド関連の情報発信を推進している。
その一環として、今般「ジャパン・グリーンボンド・シンポジウム」を開催したものである。このシンポジウムは、国内外のグリーンボンドに関連する最新動向、グリーンファイナンス、ESG投資に関連する情報共有、国内のグリーンボンド発行、機関投資家による取り組みおよび地域のグリーンボンド発行拡大に向けた取り組みを紹介した。併せて、グリーンボンドの先進的取り組み等を表彰する「ジャパン・グリーンボンド・アワード」表彰式が執り行われた。会場は多くの参加者で席が埋まり、発行体および機関投資家の関心の高さを感じた。

冒頭、環境省大臣官房環境経済課 西村課長が「2018年は前年比、発行総額で約2.4倍の5,240億円、件数で3倍の33件と急増した。環境省としても、ガイドラインの策定、補助金制度の創設、ESG金融懇談会の立ち上げ、ESG金融ハイレベル・パネルの開催など、グリーンボンドをはじめとしたESG金融の推進を図っている。本日は、グリーンボンドへの関心を一層高めてもらいたい」と挨拶した。
続いて、Climate Bonds Initiativeのショーン・キドニーCEO兼共同創業者が「グリーンボンド海外動向」について講演し、「欧州委員会が2018年3月に策定したサステナブル・ファイナンスに関するアクションプランで、タクソノミーの確立およびグリーンボンドなどに関する基準の作成が掲げられている」との説明があった。
高崎経済大学経済学部 水口教授が「グリーンボンドを含む国内ESG投資の潮流」について講演し、「グリーンボンドの投資に際しては、リスクリターンにインパクトを加味した3次元の判断が求められる」との説明があった。
その他、日本証券業協会、日本取引所グループ、発行体および機関投資家などがグリーンボンドに関する講演を行ったが、それぞれ立場は異なるがグリーンボンドに対する積極的な取り組み姿勢を窺わせた。

日本では、2014年日本政策投資銀行が2.5億ユーロの国内初のグリーンボンドを発行した。その後、徐々に発行実績も増え、発行体も金融機関、事業会社、自治体等と多様化している。2018年には、発行件数33件、発行総額5,240億円となった。
海外では、2007年欧州投資銀行(EIB)が6億ユーロのグリーボンドを発行したのを皮切りに、2014年以降急増し、2018年には発行総額16兆円規模にまでなっている。
グリーンボンド発行に係る基準として、2014年4つの投資銀行がグリーンボンド原則を策定した(その後、国際資本市場協会:ICMAが同原則の事務局となる)。また、Climate Bond Initiative(CBI)がClimate Bond Standardsを策定した。日本では、2017年環境省が「グリーンボンドガイドライン」を策定し、グリーンボンド発行市場の環境も整いつつあると言える。

グリーンボンドを発行するに際しては、「調達資金の使途」、「プロジェクトの評価および選定のプロセスに関する投資家への事前説明」、「調達資金の管理」およびこれらの情報に関する「開示」を行うことが推奨されている。また、これらの対応について、客観的評価が必要と判断される場合には、外部機関によるレビューを活用することが望ましいとされている。一般的な債券、いわゆるバニラ債ではここまで求められていない。グリーンボンドの調達資金の使途がグリーンプロジェクトに限定されているためである。
グリーンボンドのメリットは、発行体、投資家それぞれにあると言われている。しかし、今後、発行体がグリーンプロジェクトのために資金調達するのに一般債を発行し、トップ層がコミットメントし、ESG推進に向けたしっかりとした組織体制が確立され、財務情報および記述情報として透明性のある開示が出来れば、グリーンボンドの使命は実質的に果たされるのではないかと思われる。グリーンボンドに限って、複雑な発行準備、管理プロセスを求める必要があるのか。その意味でも、ガバナンスの一層の深化、開示情報の強化は、喫緊の課題であるとシンポジウムに参加して思いを新たにした。

<参考>
ジャパン・グリーンボンド・アワードの受賞企業・団体は次の通り。
(1)ジャパン・グリーンボンド・アワード 受賞企業・団体(五十音順)
<環境大臣賞>
ジャパン・グリーンイノベーション部門
・独立行政法人住宅金融支援機構
・日本郵船株式会社
・株式会社丸井グループ
  
ジャパン・グリーンインパクト部門
・小田急電鉄株式会社 
・株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ
  
ジャパン・グリーンインベストメント部門
・日本生命保険相互会社
  
ジャパン・グリーンコントリビューター部門
・サステイナリティクス・ジャパン株式会社 
・三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社
  
ジャパン・グリーンパイオニア部門
・戸田建設株式会社
  
<選定委員特別賞>
・株式会社栗本ホールディングス