Wednesday, 19 June 2019 00:07

【JCLPシンポジウム参加報告レポート】急増する再エネ100%への企業ニーズ

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2019年6月17日(月)、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)*1主催のシンポジウム「再生可能エネルギー需要の増加によるマーケットへの影響~急増する再エネ100%への企業ニーズ~」が開催された。林横浜市長のオープニング・スピーチやApple 環境・政策・社会イニシアティブ担当バイスプレジデントのリサ・ジャクソン氏の基調講演のほか、G20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合で共同議長を務めたばかりの原田義昭環境大臣、鈴木憲和外務大臣政務官が来賓としてスピーチした。

パネルディスカッションでは、高村ゆかり東京大学未来ビジョン研究センター教授がモデレーターを務め、RE100*2を実践しているリーダー企業と現実的な課題を議論し、2つ目のセッションでは、RE100以外の再エネ需要家として医療、自治体、中堅企業などからの要望と、供給側の現状が話し合われた。

いずれも内容の濃い議論だったが、参加者として感じたいくつかのポイントを挙げると、

  1. Apple やリーダー企業からのサプライチェーン、バリューチェーンとの協働要請は依然として強い
  2. 困難な目標への挑戦であるが、むしろ今動かないことのリスク認識を持っている企業が多い
  3. 脱炭素社会への移行の中で、方向性を同じくして活動する「仲間」を増やしていくことの重要性が強調されている

またJCLP主催の下で発足したRE100に加盟する日本企業*3らが集まる「RE100メンバー会*4」が策定した、「再エネ100%を目指す需要家からの提言*5」が公表された。
提言では、以下を求めている。

  1. 再エネの社会的便益の適切な評価と、それに基づく政策立案
  2. 日本の電源構成について、「2030年にエネ比率50%」を掲げること
  3. 他の電源に対して競争力を有する再エネを実現する環境整備

今後、企業、個人、自治体、教育機関、医療機関など、より多くの人々が需要を示すことで、再エネへの投資拡大が続く好循環が形成されることを期待されている。

シンポジウムの中で、もっとも印象に残ったうちの一つは、再エネ供給者である「みんな電力株式会社」大石代表取締役の「フェアネスを忘れてはいけない」というコメントだ。需要が増大する再エネ業界は確かに大きなビジネスチャンスの時機を迎えているが、ここで、またどこかに「皺寄せ」するようなビジネスモデルで低価格競争が起こるのは本末転倒だ。これは需要側も購入時に考えなければならない点だ。パリ協定前文にある「Just Transition」やSDGsの「No One will be Left Behind」という本質を理解しなければ、そのビジネスは表と裏の顔を持つことになる。これまでとはルールが異なるのだ、ということをもう一度しっかり考え実践の上でも取り込んでいくべきだろう。

*1: JCLPは持続可能な脱炭素社会の実現には産業界が健全な危機感を持ち、積極的な行動を開始すべきであるという認識の下に設立した、日本独自の企業グループで、1. 脱炭素化を経済活動の前提として捉え、持続可能な脱炭素社会の実現を目指す、2. 持続可能な脱炭素社会に向けた共通のビジョンを描き、参加企業が自らコミットメントを掲げ、 率先して実行する、3. 社会の変化を加速するために積極的なメッセージを発信し、アジアを中心に活動する、を活動目的としている。

*2: RE100とは、世界で影響力のある企業が事業で使用する電力の再生可能エネルギー100%化にコミットする、企業協働イニシアティブ。再生可能エネルギーの活用は企業の排出削減目標の達成につながり、広範囲なエネルギーコスト管理を可能とするため、賢明なビジネス上の判断と言える。RE100には、情報技術から自動車製造までフォーチュン・グローバル500企業を含む多様な分野から企業が加盟し、その売上合計は4兆5000億米ドルを超える。企業が結集することで、政策立案者および投資家に対してエネルギー移行を加速させるためのシグナルを送ることを意図する。www.RE100.org
RE100はThe Climate GroupCDPとのパートナーシップのもとで主催。We Mean Business連合の一部としても運営している。日本では2017年4月より、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)がRE100の地域パートナーとして、日本企業の加盟を支援している。

*3: RE100参加日本企業:19社 (2019年6月現在、参加順)
株式会社リコー、積水ハウス株式会社、アスクル株式会社、大和ハウス工業株式会社、ワタミ株式会社、イオン株式会社、城南信用金庫、株式会社丸井グループ、富士通株式会社、株式会社エンビプロ・ホールディングス、ソニー株式会社、芙蓉総合リース株式会社、生活協同組合コープさっぽろ、戸田建設株式会社、コニカミノルタ株式会社、大東建託株式会社、株式会社野村総合研究所、東急不動産株式会社、富士フイルムホールディングス株式会社

*4: RE100メンバー会:日本における再生可能エネルギーの普及を推進すべく、RE100に参加する日本企業らが集まり、専門家や政策立案者等との対話を通じて、メンバー同士の協働や政策提言などの実施を検討する会合。
参加者:RE100加盟企業、JCLP会員、専門家等。主催:JCLP、協力:The Climate Group。
https://japan-clp.jp/archives/2755

*5: 再エネ100%を目指す需要家からの提言 ( RE100メンバー会)
https://japan-clp.jp/cms/wp-content/uploads/2019/06/JCLP_release_190617.pdf

[関連情報]
JCLP https://japan-clp.jp/
RE100 http://www.re100.org/
THE CLIMATE GROUP https://www.theclimategroup.org/RE100
CDP https://www.cdp.net/en