Thursday, 22 August 2019 14:18

■アル・ゴア氏が率いる「クライメート・リアリティ・リーダーシップ・コミュニティ東京トレーニング」申し込み開始

Written by
この夏、世界中でエクストリーム・ウェザー(異常気象)の被害が多発している。1972年に国連人間環境会議(ストックホルム会議)で「人間環境宣言*1」が採択されてから40年以上を費やし、ようやく世界のほとんどの国家が環境破壊が地球に及ぼす負の影響を止めなければならない、という認識に立ち、気候変動に立ち向かう「パリ協定」に合意した。「パリ協定」の実行は来年2020年から始まるが、気候変動の脅威を現実の身近なものとして実感することが年々、増加している。しかしそれでもまだ、現実と、人々の認識や危機感の間には、相当のギャップがあるのではないだろうか。たとえ危機意識を持つ人でも、自分は何をしたら良いのか、省エネの小さな行動の積み重ねによって本当に変化を生むことができるのか、もう遅いのではないか、というモヤモヤした疑問を抱いていることが多いだろう。経済活動と排出削減を両立させることの困難を唱える産業界の悩みも多く聞こえてくる。

国連グローバル・コンパクト*2、ESG投資やSDGsも、ビジネス界や市民生活の方向性を変革しつつある。ただ私が常に感じているのは、正しい認識や知識がまだまだ圧倒的に不足している、ということだ。気候変動の原因、影響、今後の予測、といった科学的な根拠や、日々どれだけの生物が地球上から姿を消しているかという現実、そしてどうしたら地球を持続させられるのかという疑問に対する明確な答え・・・一部の組織やアクティビストだけが答えられるだけでは、変化は起こせない。もっと多くの人々が関与する必要がある。

世界でこのような啓蒙活動を最も積極的に実行してきた人々の内の一人が、元米国副大統領アル・ゴア氏だ。2004年に今で言うESG投資を専門とする投資会社「Generation Investment Management*3」を設立、2006年には映画「不都合な真実」を制作し、後にIPCC*4(気候変動に関する政府間パネル)と共にノーベル平和賞を受賞している。2017年には続編となる「不都合な真実2」も発表。世界に気候変動、地球温暖化の警鐘を鳴らし続けている。

私は、これまでESG投資の国際会議やシンポジウムなどで、本人の講演を数回聞いているが、映画からの迫力ある映像や詳細なデータを駆使した内容はさることながら、1時間近く手元資料を一切見ずにわかりやすく話しかける熱弁スピーチに、いつも感動する(さすが、アメリカ元副大統領だな・・とも思う)。
図1
2018年PRI年次総会@サンフランシスコでのスピーチ(筆者撮影)

このアル・ゴア氏が立ち上げた「クライメート・リアリティ・プロジェクト」が、2019年10月2日と3日の二日間、東京でトレーニングを開催する。気候変動の危機に対して世界中のあらゆる人々が解決策を創り出し、行動を起こすことを目的とした啓蒙活動を行っている団体で、このトレーニングを受け修了証を授与されることで、クライメート・リアリティ・リーダーシップ・コミュニティの正式なメンバーとなる。参加費用は無料。

現在申し込みを開始しているが、同団体のサイトによると、受講対象者は
• 社内や業界で変化を起こそうとしている企業人や、現代世界の抱える難題を解決したいと考える責任ある投資家、ESG投資を呼び込もうとしている方
• 持続可能な解決策の国内外の成功事例について知りたいと考える政府関係者
• 自分たちの市町村をレジリエンスのある持続可能な地域にしたいと考える地方自治体の職員
• 気候変動に関する知識を生徒や学生に伝えたいと考える教育関係者
• 持続可能な未来のために貢献したいと考える学生
• 気候の危機が心配で、状況を変えたいという思いのあるすべての方
となっている。

誰でも参加可能であるが、「トレーニングを修了してから1年以内に、10の「リーダーシップ行動」を実践することが求められます。リーダーシップ行動は、プレゼンテーションを行うこと、ブログを書くこと、メディアに投稿すること、気候行動キャンペーンを組織すること、地元のリーダーと会うことなど、さまざまなものがあり(同ウェブサイトより抜粋)」とも記載されており、しっかり学んで活動する意識が必要だ。

このトレーニングは、これまで世界13カ国で計41回開催されているが、日本では今回が初めての機会となる。日本は、今年G20サミットの開催・議長国であり、2020年には東京オリンピック・パラリンピックも控えている。パリ協定締結国の世界196カ国は、それぞれの「自国の事情」よりもグローバルな危機全体を優先し合意に達した。日本がこのグローバル社会の中で、どのように行動しているのか、リーダーシップを発揮できるのか、という点に注目される機会も増えていく。国や自治体、ビジネス界のみならず、市民すべてを対象にグローバルレベルの知識を得る機会が提供されるこのトレーニングは、またとない良い機会だと思う。

(今回、クライメート・リアリティ・プロジェクトの日本での広報を担当するフィンズベリーの服部様よりご案内いただき、意識ある皆様にもぜひ知っていただきたい、との主旨に賛同し、本ブログでのご紹介に至りました)

トレーニングの詳細とお申し込みはクライメート・リアルティ・プロジェクト ウェブサイトをご参照ください。www.climaterealityproject.org 

申し込みとご案内 https://www.climaterealityproject.org/apply/tokyo

参考資料
*1 人間環境宣言(ストックホルム宣言)日本語訳(環境省ウェブサイトより)
https://www.env.go.jp/council/21kankyo-k/y210-02/ref_03.pdf
*2 国連グローバル・コンパクト(グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンウェブサイトより)
http://www.ungcjn.org/gc/index.html
*3 Generation Investment Management
https://www.generationim.com
*4 IPCC(気候変動に関する政府間パネル英語サイト)
https://www.ipcc.ch/