シリーズ② (46)

2013/01/01(火) 18:54

no40:人類最大の発明

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人類最大の発明は、ごくささやかな発明だった。それは、ロウソクの火芯である。よじった布片の先に炎を移して分離してから、毛管現象を利用して、溜めておいた蝋や油を常に供給する。約千年前にいったい誰が最初にそのことに気づいたのかはわからない。火芯は驚くほど陳腐化しない発明だった。それが、19世紀になって火芯のないガス灯にとってかわられた。そして、現在に至る電球は、金属フィラメントを介して電気を燃料に供給する発明だった。ご存知のエジソンの白熱電球だ。この発明によりロウソク、ガス灯に代わって、電球が家庭の必需品となる。電球は清潔で安全、しかも効率的、世界中の家庭やオフィスで歓迎された。炎は不思議な魅力を持っていた。人にとっての生き方を知らず知らずのうちに微妙に変化させたロウソクやランプは、常に家庭の中心を占めていた。炎は「家庭の魂」だった。家族は夜になると炎に引き寄せられるようにして家の中心である部屋に集まり、その日の出来事など話しながら時を過ごした。電灯は、家庭の中心をなす暖かさを得たが、長年にわたる伝統であった「家庭の魂」を解体した。家族は夜になっても、ひとりで勉強したり、読書したり、働いたりしながら、それぞれ別々の部屋で過ごすようになった。各人は一層のプライバシーと自立性を獲得したが、家族の絆は弱まってしまった。冷たく安定している電灯は、炎が持つ魅力を欠いていた。人の心を和ませることもなく、魅力的でもないが、厳密で機能的だった。電球は照明を産業のコモディティに変えた。1944年、あるドイツの日記作家は、毎夜空襲の間、電灯の代わりにロウソクを使用したとき驚いた。「ロウソクのよわよわしい光の中では、周囲の物が全く異なって映る、より際立った輪郭を見せることに私たちは気づいた。ロウソクの炎は、物に現実味を与える」さらに、「電灯で炎よりはっきり見えるようだが、現実味という点では、鈍化してしまう。電灯は明るすぎるので、物はその本体や輪郭や質感を失う、一言でいえば本質を失ってしまうのだ」。進歩はその痕跡を覆い隠し絶え間なく新たな幻想を生み出す。われわれがここにいるのは、われわれの運命なのだという幻想を。(「クラウドの衝撃」より)

 

 

ネット革命は「企業と消費者の相互浸透」。いま、ネット上でプロデューサ(作る側)とコンシューマ(使う側)が一緒になって商品を作る商品開発が急速に広がっている。消費者が「企業にこうした商品を作ってほしい」と積極的に要求。そしてその段階では、諸費者同士が自発的に集まり自分たちのほしい商品を企業に委託して作らせるということが起こる。それはネット革命により情報交換が容易になったため起こった消費者の意識の進化です。多くの経営者はネット革命や情報通信革命を効率化やコスト削減だと思っている。しかし本質は「情報通信の革命」ではなく「情報主権の革命」だ。革命は権力の移行を意味する。

コストの壁を打ち破ったときに、市場は「量から質へと転化」が起こる。経営学者マイケル・ポーターは、日本の経営者は戦略を合理化と思っており、コスト削減に目を奪われる傾向があると批判。IT革命は「コスト削減の革命」と思い込んでいる。しかし、コスト削減が何をもたらすかを理解していない。コストが安くなることによって一番大きく変わるのは消費者の意識。ブロードバンドのインパクトは「つなぎ放題」、これによりオークションが可能になり、消費者の意識が変わった。これが量から質への転化。量が変化して、あるしきい値を超えると質の劇的な変化が生じる。

予測できない理由は3つ。「世の中の変化がきわめて速くなった。予測が追いつかい」「連続的変化ではなく、飛躍的な変化が起こる」「小さな揺らぎが、大きな変動をもたらす」。しかし、未来は予見できる。「大局的に見れば、必ずこの方向に向かう」という洞察をするのが「予見」だ。どうすれば「予見」できるか? 哲学的方法、すなわち世界は「理(ことわり)」を深く理解することによって、これからの世界がどう変化していくかを知る方法である。私たちの世界には、それが変化、発展していく根本的な「摂理」がある。いつの時代も変わらない「法則」がある。

トランスファーは自分つくりに役立つ。「音楽」「旅行」「読書」「文章を書くこと」などは、内向的な人でも社交的な人間に変われる。音楽がきっかけで論理的思考が身についた。例えばソナタ形式は4部構成で小論文の形式とほぼ同じ。問題提起に始まり反対意見を踏まえながら検証し、結論を導く。音楽の形式は思考の形式でもある。海外旅行では、異文化と出会うことで、自分という存在の幅を広げることができる。