中村 友亮(プリンシパルコンサルタント)

中村 友亮(プリンシパルコンサルタント)

産業発展の一翼を担った産業革命期の工場法

産業革命期の工場法は、直接には繊維工場における幼年児童の労働を禁止し、その他の児童、女性の労働時間を制限するにとどまる。しかし、「たいていの生産過程では児童や年少者、女性の協力が不可欠だったことから、実践の中で、全ての労働者の労働日も同じ制限に従わせられた」(マルクス『資本論』299)からであり、事実上多くの工場が操業時間を短縮した。このことが「資本(経営)」に一定の影響を及ぼしたことは否定できない。
現代の労働問題への対応は企業に利益をもたらすのか?

残業規制などを盛り込んだ働き方改革関連法が2018年の通常国会で成立した。2019年4月に施行される。残業時間を月45時間、年360時間を原則とし、最大でも単月100時間未満、年720時間以内などの上限を罰則付きで導入する。
これまでの日本の労働時間規制では、時間外労働には上限が存在せず、事実上青天井で残業を強いられる環境にあった。労動基準法(1947年)から約70年、日本の労働慣行は新たな局面を迎える。
立法の背景には、長時間労働の問題があり、その是正が喫緊の課題となっていることは言うまでもないが、長時間労働の問題は今に始まった問題ではない。世界的に見ればその歴史は、近代工場が勃興した産業革命期にまでさかのぼる。
労働問題は、今も昔も重要な問題であり続けている。現代においては重要なESGテーマの一つにもなっている。
産業革命期に企業で積み重ねられたプラクティスの現代企業への教えは古びていない。
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